相続登記は相続放棄や相続税申告のように明確な期限は有りません。
なので相続登記を行わず、被相続人様の名義ままというケースも珍しくは有りません。
特に相続した不動産に相続人の方が住み続ける場合、相続登記を行わなくても支障がある訳ではないのが、相続登記を行わないケースの原因と思います。
しかし、将来的にその不動産を売却したり又は不動産担保融資を受けたりという際に相続登記を行っていないことが、思わぬ事態を招く事もしばしば有り、可能な限り相続登記を行っておられることを私どもはお勧めします。
- 相続登記を行っていない場合の事例
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Aさんは相続に関するHPに「相続登記には期間の制限はなく、必要になった時に登記しても問題ない」と記載されていたことを覚えていたため、父Bさんの死亡後、Bさんの所有である土地の相続登記をすることなく、放置していました。
相続に伴う登記のことなどすっかり忘れて14年が経過した頃、その土地に購入希望者が現れました。 その話を喜んだAさんは売却を決めましたが、そのためには相続登記をして土地をAさんの名義にしなければなりませんでしたが相続登記を放置している間に、Aさんの兄弟であるCさん、Dさんが亡くなっており、相続人の範囲はそのCさんの後に亡くなった妻の兄弟といったような方にまで広がっていました(Bさんが亡くなった直後の話し合いでは、その土地は二男であるAさんが相続することが兄弟間で話がまとまっていました)。
そして、Aさんとは縁遠く過去経緯も知らない相続人同士で遺産分割協議(遺産を分ける話し合い)を行いましたが、結局まとまらず、売却代金を全員が法定相続分で分けることになり、Aさんの手元にはわずかな額しか入りませんでした。